H230927 --2 　ゴールデンの往診
　さて、往診です。最近は勘が鈍くなったので往診は大変です。以前ですと、初
めてのお家でも、大体どの辺りか聞いておきますと、勘が良くて、大概一発でお
家が見つかりました。
　最近は、電話番号や住所が分かりますと、カーナビが教えてくれます。
　今回は、何度か往診をしていますが、自信がないので、電話番号を入れま
す。登録されていません。そんなこともあろうとカルテを出して、住所を入力。教
えてくれるのですが、私にすれば、家が近づいてから入れましたので、後、数回
曲がればお家と思っているのに、随分遠回りをさせられて、到着。カーナビは道
の大きいものから選んだらしい。
　自分の馬鹿さにあきれてしまいます。カーナビの無いときは、勘が働いたの
に、勘は全く駄目になっています。
　少し、遠回りをしたので、約束の5分遅れで到着。

　玄関のドアをそつと開けますと、犬は玄関の三和土に頭を向こうに向けて寝て
いました。
ゆっくりと首をもたげてて、尾を振るわけでもなく、警戒するわけでもなく、又、元
の位置に頭を下しました。
　その時、頭をすこし傾けながら、そして、目の焦点が合わない様子でした。

そこへ飼い主さんが現れましたが、もう一度頭を挙げる様子はありませんでし
た。精一杯、私に挨拶をした事になります。

私は、一番に思いました。治療をすれば。なんとかなるのではと。

しかし、もう一つ気になったことがありました。前足が濡れているのと、後ろ足と
お尻のあたりが濡れていることです。これはおしっこですかとお聞きすると、「洗
いました」と。おしっこの匂いはと聞きますと、「しなかったように思います」「お尻
が少し便で汚れていましたから洗いました」と。
　少し、がっかりしました。
おしっこで汚れたのであればいいのですが、おしっこではなかったということは、
尿がでていない。即、腎臓と心臓の機能の低下となります。嘔吐があったから、
前足も洗ったのかといいますと、そうではなかったように思うと。　腎臓の働きが
悪いと、嘔吐になりますから、そうではなさそうです。

　ドライアで乾かさなくてもいいですが、安物のタオルかティシュペーパで出来る
たけ水分を取ってやってくださいと云いました。

つぎは、耳を触りますと、熱かったです。飼い主さんに触ってもらいました。これ
は、熱があるときの熱さです。今度は、足を握ってもらいました。耳より随分冷た
いです。これは、ここに血液があまり流れてきていないか、心臓の働きが悪いか
のどちらかですと自分に言い聞かせると同時に、飼い主さんに、現在の状況を
知ってもらいます。
身体の状態が脱水の時も、全体の血液の量が減るのと、濃くなりますから、足
のような先端の皮膚の温度は下がります。同時に、肛門に体温計を入れて、検
温です。
　40.1度ありました。

　次は、脱水の検査です。
　脱水は目で見ただけで判りますが、脱水の程度を正確に知るには、やはり指
で皮膚を摘まみ皮膚の弾力を見ます。この摘まんだ時に、犬や猫が痛がったり
嫌がるときは、脱水の状態がひどいことを示します。　このゴールデンは、4日
間、水は飲んでいましたが、食べていませんので、飲んだ水は毎日、全部尿とし
て出てしまいます。
　なのに、痛がらないということは、犬が痛いと訴える元気もないことを示してい
ます。

　こんなことをボソボソとおしゃべりしながら、飼い主さんに、犬が重体であること
を知らせます。

途中になりましたが、続きは次回に書きます。