人の場合には、よく急死という言葉が使われますが、多くの場合、理
由が判らないことが多いのではないかと思います。勿論、自動車事故
で死んだり、高いところから転落して急に死ぬことはあります。心臓が
悪くて急に死ぬこともあります。たとえば、夕食を普通にとって、好きな
テレビ(過激な番組ではない)を観ていて、そのままの姿勢で死んでしま
った。しかし、このようなときは、長い間、心臓が悪かったが本人は知
らなかったのではないかと思います。
　急に病気になったときに、来院されたら、なにか原因に結びつくよう
なことはありましたか? とお聞きします。今回の記事の前に、３回に書
きました「急に立てなくなった犬」の例は、原因がない。初めのビーグ
ルと２番目の犬は階段も無いお宅ですから、有るとすれば、椅子から
落ちたぐらいです。
　しかし、共通していたことがあります。3匹とも、麻痺している脚が触り
ますと冷たかったことです。冷たいということは、血液の流れが悪かっ
たことになります。そこで、３匹とも、最初の3日間は、先ず、温めようと
考えました。ドライアで温める。身体の端から中心に向かって、マッサ
ージをする。靴下を履かせる。このようなことは、どなたも信用されま
せん。本当は、薬よりも、このよう処置の方が有効ですが、皆さんは、
注射や薬一粒で効かせたい思われます。最初のビーグルは、飼い主
さんは、四六時中、犬の傍でマッサージなどをされました。治療として
は、強心剤(抹消血管を広げるものと心臓の働きを強めるもの)、経験
上、多い目のステロイドの短期間使用。ビタミンB群の大量使用。
　これらの治療は症状に応じてするだのことです。やはり、原因を見つ
けて対応するのが本当でしょう。そのときに威力を発揮するのが、コン
ピュータ断層撮影と核磁気共鳴画像法(MRI)による診断です。最近
は、これらを設置される動物病院が増えてきました。これで病気が治
るのではありません。仮に、血管が詰まっていることが発見できても、
血液が流れるようにしなければなりません。その次に、やられた神経
の回復です。脳に異常が発見できても脳に対する外科的治療が必要
になります。残念ながら、どの部分をとっても、私には手におえない部
分です。
　私が注目する点は、麻痺した部分は異なりましたが、一日で麻痺が
進行してこと。3ヶ月の間に、三頭もの犬に発症したということです。現
在、問題になっていますインフルエンザによる脳症(?) と似たようなこと
が、犬に起っているのではないかと考えています。インフルエンザによ
る脳症は、何故、問題になっているかと云いますと、唯一の効果があ
ると思われている内服を飲んだ次の日に、マンションから跳び降りたり
することを含めて、一日で亡くなっておられるからです。それも、若い
人に多いといわれているために、その薬の所為だと言われています。
しかし、発症の確率は、飲んでいなくても同じであるといわれていま
す。
　犬に戻ります。
三匹に共通していたことは、四肢が冷たいことです。できれば、暫く
は、毎日、脚を触って、冷たくないかどうかチェックをしておきますと、
急に立てなくなったということは、減らすことが出来るのではないかと
考えています。
　もし、脚が冷たかったら、どうしますか? 直ぐに、病院へ行くのではな
く、次は、心臓に耳をあててください。雑音はきこえますか 雑音とは、
どのようなもの? 聞かれたことは、どなたも無いと思います。そのとき
は、家族のどなたかの胸を借りて、聞いてください。その人の心臓と同
じ音がしていましたら、大丈夫です。　　　
犬を飼うということは、エサをやったり、散歩に行ったりするだけではあ
りません