身体の水分が少ないときのことを書きました。それを知るには、抱いて重いか軽い
かを知る。又は、日頃体重を測っておいて、数字で判断する方法があります。他
に、皮膚に触るだけで知ることが出来ます。首の上の方の皮膚を軽くつまみます。
そして、皮膚を離します。一瞬に元に戻りますと、水分は足りています。
　ただ、高齢の猫では、皮膚がゆっくり戻ることがあります。そのときは、お尻の皮
膚をつまみます。この部分がゆっくり戻りますと、水分が足らないことになります。こ
のような状態を脱水状態と云います。脱水状態になりますと、お花を生けたときに、
水上げが悪いと、しおれるのと同じで、ふにやぁとなって、元気がなくなります。皮膚
だけの元気がなくなるのではなく、胃も腸も元気がなくなりますから、胃腸は食べ物
を受け付けなくなります。そうしますと、食欲がないことになります。
　来院されるときに、「どうしましたか」とお聞きしますと、「ものを食べません」と言わ
れる方が多いです。一番気がつく症状だからです。すかさず、皮膚をつまむ診察が
必要になります。つままれた皮膚が元に戻るスピードによって、脱水の状態が判り
ます。とはいうものの、経験が物を云います。リンゲルによる水分補給にせよ、口
から水を飲ませるにせよ、水分の量を決定する必要があります。口から水を飲ませ
る時は、一日に、100ｃｃ飲ませてくださいと指示する必要がありますから、重要な触
診です。検査といいますと、よく、血液検査をされて異常ないから、大丈夫と思われ
る方が多いですが、血液検査をしても分からない部分です。もっとも、血液検査をし
て、全部のデーターの数値が高くなれば、脱水状態ですが、それでも、どれだけの
水分を補給したら良いかは、示してくれません。視診と違って、先生がこの触診をさ
れたかどうかは、注意していますと分かります。動物病院を選ぶときのヒントになり
ます。