ここ、一ヶ月の間に、腫瘍が自然消滅した例を発見しました。一匹は、
１３歳ぐらいの犬で、元気は良いのですが、下痢・軟便が続いていたとのこ
とです。脊髄の両側の筋肉がゼロになっていました。
この犬は、眼瞼の境のところに、腫瘍ができ、少し大きくなると、全身麻酔
も局所麻酔もなしに、気合もろともに鋏で切除していました。何度、切り取
ったでょう。根元が次第に大きくなり、次回は全身麻酔でないと無理だと思
っていましたが、無くなっていました。

もう一例は、猫ですが、この猫も12〜３歳です。数日前から嘔吐を繰り返し
ていまして、脱水が激しくて、500ccの点滴をしました。飼い主さんの言われる
には、背中に大きなコブがあったのが無くなったとのことです。少し、破れて内
容物が出た形跡がありましたが、水が溜まっていたのではなく、硬い腫瘍だっ
たようです。梅干大の痕跡がありましたから、倍の大きさはあったと思われ
ます。
二匹とも、腫瘍に栄養を送る余裕が無かったと思われます。栄養がなければ、
腫瘍も駄目になる。当たり前のことかもしれませんが、理屈では判っています
が、続けてはっきりと診たのは初めてです。

　人間の方では、癌による死亡が増えていますが、この例をみると、栄養状
態がいいことも、一因ではないかと思いました。　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　平成16年2月6日