水様下痢で大騒ぎ
水様下痢という言葉はあまりも耳にしない言葉だと思います。
辞書にのっているでしょうか？
「すいようげり」と読んで、私がカルテに好んで書いている言葉です。
「みずようげり」と読めば、判ります。
ようは、水のような下痢をしたということです。
一週間ほど前になりますが、高校生のお姉ちゃんと小六ぐらいの妹さんと二人で
犬を連れてきました。
体重15キロほどの長毛の犬です。
下痢をしているとの訴えです。
「元気は？」「血は混じっていますか」「食欲は？」どんどん質問をします。
その間、犬は、半分以上帰るつもりになっています。閉めてある戸に、鼻をつけ
んばかりにして、帰る方向を見ています。
お腹の下をみますと、うすい、黄色い液体がいくつか落ちています。
お姉ちゃんが、こんな下痢ですと。 どう見ても、下痢ではなく、おしっこを
漏らした感じです。
早速、テッシュペーパーで拭きとって、匂いを嗅ぎますと、確かに臭いのですが、
下痢の匂いではありません。？？？？。
一段と鼻を近づけますと、確かに糞便の匂いです。
しばらくしますと、水様便は、益々、あちこちに数が増えます。
こりゃ、早くしないとわが診察室は、便だらけです。
「それでは、診察台の上に載せてもらおうか」と言いましたら、おねえちゃん、
自分の仕事だとわかったらしく、大声で「えーー」と。
「二人で、担ごうか」といいましたら、「いいよ」と言いながら、犬を抱い
て診察台に揚げました。
またもや、悲鳴に近い大声が・・・・。
便が顔にかかったと。 きっと、かかったのでしょう。
その数秒後、妹さんが、便の落ちている数を数えて、これまた、大声で「12や」
私は、早速、雑巾でふき取ります。
姉妹二人は、治療どころでありません。「判ったわかった」早く帰ってもらわな
いと、犬が尾を振るたびに、診察室は便だらけだから、一刻もはやく帰ってもら
います。そして、二人とも、お風呂に直行にしよう。
診察もそこそこにして、注射を一本。内服薬 3日分を渡して、
帰って頂きました。
尿に近い、便がぽとぽと落ちる例は、やはり、珍しいです。
このような便をしきりにすることを シブリ便と言っていますが、きばらなくて
もぽとぽと落ちるのです。
便の臭いが少ないということは、便はほとんど出てしまったのに、腸からの分泌
物がまだ続いているということです。
原因は、いいくつか考えられますが、珍しい例でした。
二人の姉妹の言葉の投げあいが、性格をよく現していて、ほほえましいものでした。
そして、経過？
その後、来院がありませんので、私の都合のよいように、
完治ということにしました。
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