老犬の腫瘍

昨日、2週間ばかり入院していました老犬が退院しました。 前回に続いて、暗い話題で
すが、同じようなことを繰り返さないように、気を付けていただければと考え書いてみます。
 
 我が家の町では、有名な犬です。 町中を闊歩しといえば、大げさですが、自動車が切れるこ
とがない国道をどうして渡るのか知りませんが、住所と電話が書かれた名札をつけ
て、随分、遠方まで出かけています。 その内に、電話がかかってきますから、飼い主さん
のお出ましという事になります。 このような犬は大概事故に合い、あまり長くは生きる事が出
来ませんが、この犬・マモちゃんは 18歳半になります。交通事故に合ったお話は聞きません。
 穏やかな性格ですから、あちら頭をなでられ、こちらで声をかけられで、有名になってしまい
ました。

 このマモちゃんが、後ろ足に腫瘍が出来たのは、いつだったでしょうか? 1年ほど前?
に、診察に来られたときは、腫瘍が大きすぎて、取る事はできますが、皮膚が足りません。 皮
膚移植をすればいいのですが、私には、その技術がありません。

 そこで、私が考えた案は、「老犬になりますと、腫瘍が大きくなるスピードは遅くなるだろう」 
「腫瘍がおおきくなり、皮膚が破れるのと、マモちゃんの寿命とどちらが先でしょう」 などといい
加減なことを言って、様子を見ることにしました。 

 十二月頃には、皮膚が破れてしまいました。 その後、どんどん大きくなり、後肢の膝から下
が、皮膚は半分になってしまいました。 マモちゃんは、出てくるお汁を舐めるのに忙
しい毎日となります。 そればかりでなく、化膿し、痛みが激しくなってきました。

 視力・聴力も衰え、四本足の歩行でも大変でしたのに、その脚はあげたままの、三本足
の歩行になりました。 手術は無理のように思えましたが、思い切ってすることになりました。 
膝から下を切り離す手術です。

 術後、2日間は食べることも出来ませんでしたが、次第に回復し、お腹にタオルを巻いて、リ
ハビリをしてやりますと、前足は大分力がついてきましたので、退院となりました。

飼い主さんも92歳のご高齢で、お一人の生活ですから、どうにか助かって欲しいと思いながら
治療をしました。 

最近は、15歳を過ぎる犬猫が増えてきました。 高齢ですと腫瘍も多くなります。 今回は明ら
かに、癌でした。 結論を先に言えば、高齢だからといわずに、もつと、早い時期に、局所麻酔
で腫瘍を取ってしまえば、脚を切らずに済みました。 背中やお腹は皮膚がた
っぷりありますから、少々、腫瘍が大きくても取る事が出来ますが、足では、早いうちに取って
やりたいものです。

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